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【院長ブログ】狭心症
循環器の病気に“狭心症”というものがあります。今回は、その“狭心症”について、狭心症の種類と治療についてお伝えします。
狭心症とは?
心臓がたゆみなく動き続けるために、心筋へ酸素と栄養素を送るための専用栄養血管が冠動脈です。この冠動脈が細くなるために心筋への血流が阻害され酸素不足が起こり、胸の痛みなどを生じるのが狭心症です。狭心症には4種類あります。それぞれについて、次に詳しくお伝えします。
狭心症の種類①労作性狭心症
階段を上がること、重たいものを持つこと、運動をすること、心理的なストレスを受けることなどで、胸に圧迫感や痛みを感じます。
これは体内にたくさんの血液を送り出そうとして心臓の筋肉(心筋)が活発に働き始めるためです。
その際血管が細くなり血液の供給が追いつくことができず、胸の痛みなどの症状が出るのです。
毎回、ほぼ同様の運動やストレスでおこります。
対処
症状が起こった時には、安静を保つことが重要。ニトログリセリンの舌下錠を口に含むと短時間で楽になります。
狭心症の種類②冠攣縮性狭心症
夜寝ているときの特に明け方や昼間に安静状態にいるとき、胸が苦しくなるといった発作が起こります。多くの場合には、冠動脈が一時的な痙攣を起こして収縮し(攣縮)、血流が途絶えることによって起こります。動脈硬化がみられない場合にも起こることがあります。
対処
労作性狭心症と同様にニトログリセリンの舌下錠で一定の効果は得ることができます。また、予防にはカルシウム拮抗薬に効果があるとされます。
狭心症の種類③不安定狭心症
労作時に起こっていた狭心症発作が、より軽い労作でも出やすくなった場合や、新たな症状が出現した場合に、不安定狭心症と診断します。
狭心症の中でも特に心筋梗塞に移行する危険が高い狭心症です。
急性心筋梗塞と不安定狭心症を合わせて急性冠症候群と呼び、急性心筋梗塞に対応た治療が必要となります。
ニトログリセリンは効果が期待できないこともあります。
狭心症の種類④微小血管狭心症
更年期前後の女性に多い狭心症です。冠動脈の狭窄はみられず、誘発試験でも冠攣縮がみられない場合には、微小血管狭心症の可能性を疑います。
労作とは無関係に胸痛が起こる場合が多く、通常の狭心症と比べると持続時間が長いことが特徴とされています。
対処
通常の狭心症とは違いニトログリセリンが効きにくいことが多く、逆にカルシウム拮抗薬が有効なことが多いとされています。
狭心症の治療とは?
狭心症の治療には大きく分けて3つあります。それぞれについてお伝えします。
薬物療法
血管の緊張をゆるめるなどして心臓の負担を減らし、血液を凝固しにくくする治療を行います。
カテーテル・インターベンション(PCI)
細い管状のカテーテルを冠動脈の入口まで挿入し、カテーテルを介して冠動脈の中に通した針金をガイドに、狭窄している場所にバルーンという風船のようなものを運び、ふくらませて狭窄を内から押し広げるという治療法です。局所麻酔をおこない、1~2時間程度で終了します。
バイパス手術(CABG)
狭窄している血管の先(末梢)に、バイパスと呼ばれる移植する血管をつなぎ、血液が狭窄部を迂回できるような流れを作る手術です。全身麻酔で行われ、2週間前後の入院を要します。