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【院長ブログ】物忘れ=認知症?物忘れの原因と前兆、認知症の種類
加齢とともに物忘れがひどくなったというのはよく聞く話です。 若いころに比べて記憶力が低下してしまうのは、ある程度は仕方のないことですが、中には認知症のような病気である場合もあるので注意が必要です。 ここでは物忘れの原因や前兆、症状について詳しくご紹介していきます。
物忘れの原因と前兆
物忘れの原因は多種多様であり、主に以下のようなものが挙げられます。 ・加齢に伴う記憶力の低下、精神的ストレスや過労、寝不足 ・睡眠薬、精神安定剤などの脳に作用する薬によるもの ・認知症などの脳の疾患が原因で起こるもの 中でも、脳の疾患の前兆として注意したいのが、物忘れの自覚がなかったり、ヒントを与えても思い出せないといった場合です。こういった場合にはできるだけ速やかに医療機関で受診することをオススメします。
物忘れでみられる症状
物忘れでよくみられる症状として「良性健忘」と「軽度認知障害」が挙げられます。 ここでは、それぞれどういった症状なのか解説していきます。
良性健忘
良性健忘とは、言ってしまえば加齢に伴う記憶障害で年相応の「物忘れ」と言えます。 認知症と呼ばれるものとの大きな違いは、大切なことは忘れていないことです。 例として、昨日の晩御飯に何を食べたかは覚えていなくてとも、食べたこと自体はしっかり覚えているような場合です。その人の顔は覚えているのに、名前は思い浮かばないといった場合もこれに該当します。こういった症状は単なる「物忘れ」なので心配する必要はないでしょう。
軽度認知障害
軽度認知障害とは、いくつかの認知機能のうち1つの機能に問題はあるものの、日常生活には支障をきたしていない状態をさします。完全な認知症とは異なり、いわゆるグレーゾーンの状態にあると言えるでしょう。 ただし、軽度認知障害と診断されたにも関わらず、治療を行わなければ認知機能の低下は進み、5年間で約50%の方が認知症へと進行するという報告もあります。 軽度認知障害と診断されたら速やかに治療を開始することで本格的な認知症の発症を防いだり遅らせたりできる可能性が高くなります。
認知症の可能性も?認知症の種類
脳の機能が脳の病気や障害のために低下していき、やがて記憶や思考などにも影響を及ぼすようになるのが認知症です。 ここでは、代表的な4つのタイプについて簡単にご紹介します。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、アミロイドベータと呼ばれる特殊なタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が壊され、脳の神経がうまく情報伝達できなくなる認知症です。 アルツハイマー型認知症は認知症の中でも一番多いタイプで、男性よりも女性の割合が高い傾向にあります。
脳血管型認知症
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの疾患によって起こる認知症です。 これらの疾患により脳の血管が詰まる、もしくは出血することで脳細胞に必要な酸素量が行き渡らず、神経細胞が死んでしまうことによって発症します。
レビー小体型認知症
神経細胞にできるレビー小体と呼ばれる特殊なタンパク質が、物事を考える部分である脳の大脳皮質や、脳幹に多く認められる疾患です。 レビー小体が多い場所では、情報伝達がうまくできなくなるために起こる認知症です。
前頭側頭型認知症
頭部の前にある前頭葉と呼ばれる部分と、横にある側頭葉と呼ばれる部分が萎縮することによって起こる認知症です。この認知症は若い方でも発症が見受けられる認知症です。
まとめ
自然な老化現象である物忘れは、大切なことは覚えていたり、体験したことの一部だけを忘れていることがあります。 しかし、老化現象ではなく認知症である場合は注意が必要です。 軽度な状態で早期発見できれば、薬物療法などで症状の進行を抑えることも可能なため、単なる物忘れなのか認知症なのか区別がつかない場合には放置せずに、速やかに専門医を受診するようにしましょう。